笑いのセンスを身につけたいです

お笑い系とか大嫌いで興味もなく、全然おもしろいと思いません。冗談も言えないし、いつも「～ねばならない」みたいな考え方で、真面目でつまらない人生を送って来ました。でもこのサイトを見て、ものすごく楽しいと思います。
ゆうき先生みたいに明るくさわやかに生きるにはどうしたらいいでしょうか？
ゆうき先生の回答には、死ぬほど笑い転げます。その笑いのセンスをどうやったら身につける事ができますか？

【48歳　教員】

ご相談ありがとうございました。
何かそこまでハードルを上げられるとすごく語りにくいんですけども。
新手の褒め殺しか、という。

いや、僕なんて本当にまだまだです。
僕より面白い精神科医なんていっぱいいます。

………。

精神科医としての謙遜が「面白いかどうか」という時点でなんかおかしい気がしつつ本題に。

さて、とにかく「笑いのセンスを身につけるにはどうしたらいいか」という問題。

ここで、ある作家が残した、こんな言葉を紹介します。

「ユーモアの分析はカエルの解剖のようなものだ。興味を持つ人はほとんどいないし、カエルはそのために死ぬ。」

いや、これ、ウマイなぁ、と。

確かに誰かがジョークを言った瞬間、それを理論だてたり、分析したりすることほど、虚しいものはありません。

僕自身、さっきの発言にたいして、
「これは精神科医という真面目な職業にたいして、面白いかどうかという基準を持ち出すことによって意識のギャップを生み…」
とか分析されたら、
「やめてー！」
とかなりますし。

そういえば昔、「トリビアの泉」という番組で、「心理学的に最高に面白いジョークは何か」という調査がありました。
一流の心理学者の人たちが、
「人は、緊張が解けたときに笑いが生じる。そのため、緊張が強い場面、真面目な場面で、それに合わない発言をすることで、最高のジョークが生まれる」
という感じで分析していました。

その分析のもと彼らが作った最高のジョークが、確か、

「青年の主張で、性欲の強さを主張する」というもの。

………。

番組内では、ウケてませんでした。

いや、もう、それ、そうでしょ、と。

いや、このジョーク単独でどうとか以前に、そこまで理論を説明しちゃった時点で、もう何言ってもウケないんじゃないかとか思うのです。

個人的には、このジョーク、結構好きなんですけども。

長くなりましたが、とにかく「笑いとはこういうもので、こういう方法論でテクニックを身につけると、面白くなる」とは言えないもの…というのをご理解いただければ幸いです。

しかし、です。
もし唯一笑いのセンスを高める方法があるとするなら。

とにかく古今東西、あらゆる笑いを目にすることです。

理論は意味がない…とは言いつつも、笑いにはある程度パターンがあるので、とにかく多くの笑いを「知る」ことによって、無意識に「何が面白いか」ということが分かっていくことになります。

もし自分の書くことを面白いと思っていただけるのでしたら、たとえば「土屋賢二」先生の本は面白いと思われると思います。
本でもテレビでも何でもいいので、とにかく「つまらないもの」と決めつけず、色々なものに接してください。
それを繰り返すだけで、少しずつ面白いものも発見でき、最終的にあなたの発言や毎日も、笑いにあふれてくる可能性があります。

笑いに頑張る…というのもアレですが、ぜひ頑張ってみてください。

ちなみにさっきのジョーク。

自分の場合、
「精神科医としての悩み相談で、バストの好き具合を主張する」
という状況だと思います。

………。

ジョーク的にも人生的にも微妙な雰囲気をムンムン感じつつ、あなたの幸せを心より願っております。