いつも相談役なんです。

友人・知人から相談を持ちかけられやすいんです。
相談と言うと聞こえは良いですが、要するに秘密の打ち明け話をする相手に選ばれやすいだけなんです。

大人になるにつれ不倫問題だの、恋人との仲がうまくいかないだの、夫に女がいるだのと、第三者の私なんかに言うべきではない、と思う深刻で重い内容の打ち明け話が増え、聞かされた私は非常に重たい気持ちを引きずって日常を過ごすハメになっています。
何度か「相談されても私に解決能力はないし」と逃げようと試みた事もありますが「聞いてくれるだけでいいから！」と、押し切られてしまいました。

はっきり言って人の秘密を心に閉まっておくのはもう嫌なのです。
相談されるのが嫌！と相談を持ち掛けている私も変だとは思いますが、どうしたら打ち明け話の対象に選ばれなくなるのか、何か良い方法がありましたら教えて下さい。

【35歳　会社員】

ご相談ありがとうございました。

これが不倫問題とか夫に女がいるとかの秘密くらいであればまだいいですが、それこそ国家機密レベルの秘密だったりしたら大変ですね。
その秘密を話した人がいつのまにか事故死して、なぜか自分の元にも不審なアクシデントが多発。
知らない間に、事件の中に巻き込まれていってしまったあなたは、友の敵を討つために悪のボスと戦うという。
なんか自分でもハリウッド映画の見過ぎだと思います。

もし僕が強引にそんな展開に巻き込まれたら、おそらくメルマガとかで読者さんたちにその秘密を流しちゃうと思います。
「もう僕殺しても関係ないよ！　みんな知っちゃったもの！」作戦。
たぶん恨まれて余計殺されるのが早くなる気が。

さてあなたのご相談では「相談されても私に解決能力はないし」「聞いてくれるだけでいいから！」というやりとりがあります。

実際に悩みを打ち明ける場合、大半は解決策を求めているわけではありません。
単に「聞いてもらう」だけでも癒され、気持ちが楽になるのです。

特に人は不安になったり、自分でどうするべきか迷ったときに、その秘密を人に話したくなるもの。
「この人はそれを聞いて、どう反応するだろう」
というものを見ることによって、自分の対応の参考にしようとしているのです。
これを心理学では「社会的比較理論」といいます。
また話すことによって、秘密を何人かで分割することになります。それはある意味、重りの分散。
あなたに話すことは、確実に相手にとって意味があることなのです。

さて、ではどうしてあなたばかり、秘密を打ち明けられることが多いのでしょうか。
その理由は二つあります。

一つが、「簡単に話をもらさない」もしくは「話したとしても、無害」な人と思われているという点。

当然ですが、近所に噂好きで、さらに話に尾ひれをつける奥様がいたとして、その人に「夫に女がいる」話は、間違ってもしないはず。
あなたが比較的に口が堅く、なおかつ無関係な存在だからこそ、色々と打ち明けられるわけです。

もうひとつは、「あなたのリアクションが分かりやすい」こと。
話すたびに「えー！」「やだー！」「うわわわ」というような反応をしてくれれば、それこそ相手の「この人はそれを聞いて、どう反応するだろう」という気持ちを強く満たすことになります。
ある意味、自分よりも強く不安になっているようなら、それこそ「あ。自分より不安になっている人がいる。安心…」と思うこともできるわけです。
たとえば明石家さんまの前で、恋の空騒ぎのメンバーがあれだけ秘密を話すのも、彼のリアクションがとても大きいからです。

よって解決策はシンプル。
秘密を話されそうになったら、
「実は私、もうすぐあなたの近くに越すかもしれない」「私、今度あなたの職場に異動になるかも」
と、ウソでもいいのでにおわせてみること。
また何を聞いても「ふーん。あっそう」というリアクションをつらぬくのも有効です。
相手はそれこそ銅像に話しているかのようなむなしさを感じれば、それ以上秘密を打ち明けようとはしないはずです。

とはいえ、秘密を話すのは、それだけあなたに気持ちを許しているから。
そう思えば、少しは気持ちが楽になりませんか？

明石家さんま自身が話す自分の打ち明け話は、「大竹しのぶの話」と「スッチーとの合コンの話」のヘビーローテーションですが、あなた自身は相手に少しずつ自分の色々なことを打ち明けられ、気楽で濃厚な関係を作ることができますことを、心より願っております。