友人は髪を気にしすぎているようなんです…

男性の友人なのですが、自分の髪が薄くなってきている！とものすごく悩んでいます。

ところが、実際には全然そんな風には見えないのです。言われたこちらがびっくりしたぐらいです。
それなのに本人は、人に会うのも嫌なほど気になるようで、会うたびに何度も「だいじょうぶかな？」と確認してきます。

「だいじょうぶ」「なんともない」と誰がどれだけ言っても、それが全て慰めの言葉にしか聞こえないのだそうです。
自分が必要以上に悩んでいることは本人もわかっているけれども、考えることやめられないのだそうです。

こんなときは、どういう風に接してあげたら気持ちを少しでも楽にしてあげられるんでしょうか？
ゆう先生、よろしくご教授ください。

【35歳　会社員】

あはぁ…。それは大変だったでしょう…。

髪の毛が抜けてしまう。
お肌にシミができてきた。
若いときほど、元気でなくなった。
腕立て伏せを５回しただけで、筋肉痛が走った。

こういった「若さを失っていく感じ」は、人間にとって、何よりもさびしいものです。
こういう気持ちを、広い意味で「自己喪失感」といいます。
僕自身、筋肉痛と戦いながら、非常に生々しい気持ちでこの原稿を書いています。

ここで、彼にとっての「減っていく髪」はその象徴。

しかしそれは、表面的なものに過ぎません。
男性であれば、「太ってきた」「体力が落ちてきた」というような、様々な喪失感があるもの。
何よりそんな会話を続けていれば周囲の人も離れていくわけで、彼自身、色々な不安の気持ちを感じていることでしょう。

すなわち、髪はその一例に過ぎないのです。

言ってみれば、彼は髪を通して、
「僕はつらいんだ！　分かって！」
というメッセージを伝えたいと思っているのです。

アデラ●スといった会社の歴代ＣＭタレントを、吉岡美穂などの癒し系タレントが勤めているのも、それだけ不安を抱えた男性の気持ちをつかむためといっても過言ではありません。

すなわち彼を癒すためには、広い意味でその「喪失感」を埋めてあげること。

具体的には、
「どうしてそう思うの？」
という言葉を、根気よく繰り返してあげ、さらにそのひとつひとつを認めてあげることです。

「髪、大丈夫かな？」
「どうしてそう思うの？」
「だって昨日も一日に100本抜けたし…」
「そっか…。でも、そのくらい、普通だよ」
「そうかなぁ…」
「うん。他には？」
「あとは、みんなにも、薄いって言われたことがあるし…」
「みんなって、誰？」
「え？」
「誰？」
「まきこちゃんと、くみこちゃん…」
「だけ？」
「あ、うん。でも…」
「そっか…。二人だけでしょ？　でも、私はそんなに薄いと思わないよ」
「うーん…」
「他には、どうしてそう思うの？」

このように、相手の言葉を少しずつ引き出していくこと。
そしてそれを、一つずつ「大丈夫」と受け入れてあげることです。

ただ大切なのは、「そんなこと考えなくてもいいよ！」と、一刀両断で否定しないこと。
相手の言葉がどんなにくだらないことと思えても、ひとつひとつを包んであげることです。

実際に「大丈夫だよ」と言わなくても、単に相手の不安を引き出していくだけでも、話している方は癒されていくはずです。

とはいっても、それができなくても、心配することはありません。

頭髪に対する最大の危険は、やはりストレス。
彼のように不安になればなるほど、頭髪の数は少なくなっていくはずです。
（この部分は彼には読ませてはいけません）

よって放っておいても、頭髪がシャレにならないくらい薄くなったら、彼も絶対に話題にはしないはずです。

「髪、大丈夫かな？」
「どうしてそう思えるの？」

微妙にニュアンスの違うツッコミが来ると怖いため、聞くのをやめてしまうはずですね。
言ってみれば、話題に出している間は、「実はまだ大丈夫」と思っている証拠。
気軽な気持ちで、話を聞いてあげてください。

アデラ●スのＣＭタレントが吉岡美穂でなくて美輪明宏だったら、ＣＭのあのセリフも、「読んでミホ？」から「読んでミワ？」みたいになって、また別な方向の顧客たちをゲットするんだろうなと思うと、成長しない自分に微妙なストレスを抱える僕ですが、あなたと彼が心穏やかに毎日を過ごせることを、心より願っております。