言われるととても不快になる言葉があります

言われるとたまらなく不快感がこみあげてくる言葉があります。
それは「どうしてもこれじゃないといけないの？」です。

いろいろなやり取りの結果、出てくる場合ではありません。
何かの原稿を提出して、いきなり「どうしてもこの言葉は必要なの？」と出し抜けにいわれたり、グラフィックデザイナーと○日提出、と約束していたものを、ある日突然「どうしても○日じゃないといけないの？」といわれると、日頃おとなしい私も衝動的にドツキたくなるのです。

自分の心理を理解することにはかなり自信があったのですが、この場合、「なんでこんなに腹が立つんだー」と不思議です。

ゆう先生、この心理に隠れているのはどんな気持ちなのか教えてください。

【44歳　コピーライター】

ご相談ありがとうございました。
では分析してみましょう。

「どうしても、○○じゃないと、いけないの？」

これを分かりやすく日本語訳すると、
「なんとか○○じゃなくしてほしい」ということ。

「どうしてもこの言葉は必要なの？」なら、「この言葉を削っていい？」
「どうしても○日じゃないといけないの？」なら、「○日を過ぎてもいい？」

でも、彼らは後者の言葉を話すことはできません。
なぜならそう話すことによって、自分の「ワガママ」と取られることを、無意識に恐れているのです。

そのために、「どうしても、○○じゃないと、いけないの？」と話すことで、
「僕はなんとか都合をつけようと頑張っている。その結果考えたが、あなたの方のワガママを変えてほしい」
という言い方をするわけです。

言ってみれば、ただ単に「お願い！　締め切り伸ばして！」と言えばいいところを、「自分は悪くない！　悪いのはキミだ！」と言っているわけです。
素直じゃありませんね。

年を取って性的に衰えてきてしまった男性が、「俺のせいじゃない！　妻がミニモニのコスプレをしてくれないせいだ！」と開き直るのに似てますね。似てませんか。

いずれにしても、あなたは、相手のそんな自分勝手さが見えるので、不愉快に感じているのではないでしょうか。

これがひとつの理由。

そしてもうひとつ。
もしかしてあなた自身、過去に「ワガママ」と言われたり、もしくは「自分勝手と思われているのではないか」と不安になったことがあるのではないでしょうか。
そのために必死にもがいて、なんとか「ワガママ」から抜け出した場合ほど、この言葉のように「ワガママなのは君だ」という指摘が、さらにハラが立つことになるわけです。

でもそれは裏を返せば、あなたが自分のマイナスの過去を克服しかけているということの証明。
本当にワガママな人は、他人から指摘されたとしても、
「は？　私がワガママ？　そんなわけないでしょ？」
と、意に介しません。

女王様を本職としている人が、「嗜虐的ね」と人に言われたときに、「それで？」と言うのに似てますね。似てませんか。

何にしても、その言葉にイライラする自分を、ネガティブにとる必要はないのです。

もし今度そのセリフを誰かに言われたら、とにかくゆっくりと「繰り返す」ことが大切。

「どうしても、○○じゃないと、いけないか？　と申しますと…？」
「○日じゃないとダメなのか、とは…？」

こう話すことによって、相手は自分の話したヒネた言葉を、少しでも認識するはず。
それだけで、イヤなセリフも、少しずつ柔らかくなっていくはずです。

これはどんな言葉にも対処できる方法なので、どうか試してみてくださいね。

……ちなみに僕は、最後のまとめの「心より願っております」のひと言に、恐ろしく考え込んだりすることがあります。
ヘタすると、30分以上考えても何も出てこないことも。

そんなとき、「どうしても最後の言葉で微妙に落とさないと、いけないの！？」
と自問自答するときもあります。

なんか、悩み相談の回答として、ものすごく本末転倒している気になりながら、あなたが僕よりも心安らかに過ごせることを、心より願っております。