理想のタイプと、好きになるタイプが違うのはなぜ？

私は、自分が「こういう人いいなぁ」と思う男性とは別のタイプの人を好きになってしまうようです。

思いやりがあって穏やかで、積極的に自分の気持ちを表現する人っていいなぁと思うのですが、前に付き合っていた人は、感情を伝えるのが苦手で口数の少ない人でした。
最近、とっても気になる人がいるのですが。彼も前の彼と似たタイプで、口数が少なく、積極的な性格ではなさそうなので、私のことをどう思っているのか分からないんです。

今はまだ「知り合い」という関係ですが、もし付き合うことになっても、私は彼の態度や言葉で不安になったり、一喜一憂して疲れてしまいそうです。
そのことを考えると、好きという気持ちを自分で押さえ込んでしまいます。

頭の中で「いいなぁ」と思うタイプと、実際に好きになるタイプが違うのは、どうしてなのでしょうか。

【30代　アルバイト】

ご相談、ありがとうございました。
こういう図は、昔の少女マンガでいくらでも描かれますね。

「もう！　幼なじみで、不良のユウったら！　私のこと『チビ！』なんて言うなんて！　プンプーン！（←怒る擬音。ハエが飛ぶ音ではありません）それに引き替え、クラス中の憧れ、二階堂くんはカッコいいなぁ…。あんな人とつきあえたらなぁ…」

しかしドラマが終わりになると、
「あれ…。どうして私、ユウの言葉が、こんなにドキドキするんだろう…。まさか彼のこと、好きになっちゃったとか…？　ウソよ！　なんであんな男を！　…ドキドキ…」

というような状況になります。
王道ですね。

なんか現実逃避も兼ねて自分の名前を入れてみましたが、やらなきゃ良かったと後悔しました。

では、これはいったいどうして起こるのでしょうか？

実際に人も生き物ですから、「有能な人と交わって、子供を作れ！」という本能が、常に頭の中にあります。
それこそが「理想の異性」。
カッコ良くて、頭が良くて、優しくて…
というように、それこそ社会的に認められている「優れた要素」です。
子供の時に、誰もが「総理大臣になりたい！」「社長になりたい！」と、夢を語るのと同じですね。

ちなみに僕は子供の文集で「大きくなったらクワガタになりたい」と書いていましたが、これはかなり特殊な部類でしょう。

いずれにしても、無意識に持っているのが「理想への憧れ」。

しかし現実は、必ずしもそうではありません。
友達がその職業に就こうとしてたから…。たまたま教授に勧められたから…。通いやすいのが、そこだったから…。
そういった理由で、ほとんどの方が、ノーマルに会社勤めをされているはずです。

といっても、「理想と現実は違うのさ、フッ…」というような、冷笑的なことをいうつもりはありません。
そんな何気ない選択の中にも、あなたの「理想」が、どんなに小さくとも投影されていることが多いのです。

たとえばあなたは「思いやりがあって穏やかで、積極的に自分の気持ちを表現する人」が理想と言っていますが、
「感情を伝えるのが苦手で口数の少ない人」の中にも、それと同じ要素はあります。

少なくとも話さない分、穏やかといえないこともないでしょうし、また感情を伝えないのも、不器用な思いやりなのかもしれません。
そしてその無言という行動を通して、あなたは「気持ちの表現」を感じ取っているのかもしれないのです。

「好き」には、必ず理由があるものです。

誰もが、自分の届く行動範囲の中で、精一杯「自分に一番いい物」を、選んでいるものなのです。
それは決してガマンなどではありませんし、あなたの気持ちが分裂しているわけでもありません。
形を変えて、あなたの本能が、忠実に現れているだけ。

どうか自信を持って、今の想いを大切にしてくださいね。

よく「クワガタが数十万円で取引」というニュースを見るたびに、「やっぱりクワガタになっておけば良かった」と思う僕ですが、あなたが僕よりも心穏やかに過ごされてることを、心より願っております。

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ゆうきゆう（精神科医・心理学者・作家・Ｍ）

特技は、たて笛のテストを口笛でごまかすこと。趣味はバンジージャンプ。落ちるときの情けない顔は天下一品。夢はワイルドブルーヨコハマの跡地を買い取って、セクシーピンクヨコハマにすること。読者数138000人のメルマガ「セクシー心理学」を運営している。アドレスはこちらhttp://sinri.net/

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