細かい男がキライ！

最近気がついたのですが、私は細かい男がものすご―――くキライなのです！

前課長が、気持ちが悪いほど生理的に受け付けなかったのは、どうやらそのせいのようです。

さて、今の係長にも異動後まだ３日目なのにもかかわらず、すごく細かいところを発見してしまいました。
たとえば、決裁書（案）の文章の中の「以上」の「以」と「上」の間は半角必ず空ける、空けていなければ打出しなおし！平成は必ず平と略す！
だって案ですよまだ！しかもそれは趣味の範疇！あーいらいらする！

こういう人とはどうやったらお互い幸せに付き合っていけるでしょうか？どうかどうか教えてくださいませ！

【29歳　会社員】

それは確かにつらいですよね。

ただこれは「細かい」というより、やや強迫的なレベルにまで達しています。
こういう人の気持ちは、想像してみるのが一番です。

たとえばあなたの部下の男性が、いつもチャックが開きっぱなしだったらどうでしょうか。
「あぁ…。チャックが…。チッャクが…」というように、そのことばかり気になってしまって、仕事が手につかないはずです。

またはあなたの恋人が、突然に語尾に特徴的な言葉をつけ始めたら、どう思うでしょうか。

「君のことが好きなんだっちゅーの」
「今日は、二人きりになりたいんだっちゅーの」

おそらく、その語尾が気になって、会話に集中できなくなってしまうはずです。

どちらの場合も、

「チャックが開いてようがなんだろうが、仕事に関係ないじゃないか！」
「語尾がパイレーツだとしても、君への思いがどう変わると言うんだ！」

といくら話しても、「それでも気になるからダメなの！」と言いたくなるはず。

多少たとえが悪いかもしれませんが、これこそがまさに上司の心理。
彼には、彼なりの「方法」があるはず。

たぶん最初は、
「以上」を「以上」と表記することによって、より「これで終わりだよ」という気持ちを強く出したかったのかもしれません。
また「平成」を「平」と表記することで、「平という文字だけなら、左右対称で美しいなぁ～」という快感に浸りたかったのかもしれません。
もちろんその成り立ちは不明ですし、知りたくもありませんが、それこそが上司の選んできた「道」なのです。
彼にとっては、それを守らないことは、それこそ「チャックを開けている」のと同じレベルのショックなのでしょう。

でもこれは考えようによっては、あなたにチャンス。

なぜなら人間の注意は、それほどたくさんに向けられるわけではありません。
おそらくそういう小さなところにこだわって、企画の本質などに対するチェックは甘くなるはずです。

ほら、ちょっとこの回答の上の方を見てください。
「チャック」が、ひとつだけ「チッャク」になっているのに気がつきましたか？
突然出てきた「男のチャック」という言葉の衝撃に、ほとんどの人が、この書き違いに気がつかなかったのではないでしょうか。
（気づいた方は、相当クールな方です。男性が突然にチャックに手を掛けても、ものすごく冷静な目で観察しているかもしれません）

ですのであなたが好きな企画を考えたときに、とにかく通しやすくなることは確か。
たとえば最初にわざと「以上」というように半角を空けずに書いて、上司がそれを指摘したら、「それだけ直せばよろしいでしょうか？」と話し、強引に同意を得てしまうというテクニックもアリです。

ちなみに細かいかどうかで言ったら、僕は相当太い（細かくないの意）男です。
急いでいるときは、打ち間違いとかもバンバン出てきます。
特に今回の原稿では、↑の「チッャク」が、「あぁまた打ち間違いしてるよ～」と、直されてないか不安で仕方ありません。

あなたが最低限僕よりは細かくなって、上司の方とうまくやっていかれることを、心より願っております。