秘密を守れません！

つい誰かに秘密をしゃべってしまいます。

私は外見上は口がかたく見られるようでよく相談を受けますが、実はその内容を親しい誰かに話してしまいます。

自分ではこれではいけないとわかっているのですが秘密にしてほしいという内容までも話してしまいます。

今のところトラブルになったことはありませんがいつか自分に跳ね返ってくる気がしています。

どうすれば自分の中に秘密をおさめておくことができるでしょうか。

【22歳　大学生】

あなたは、「王様の耳はロバの耳」という童話をご存じでしょうか。

あるところに、耳だけがロバの王様がいました。
そのことを知った床屋が、言いたくて言いたくてたまらなくなり、ついに穴を掘って、言ってしまいます。
するとその穴から声が響き、街中にそのことが知れ渡ってしまった、という話です。

実はこの王様、本名をミダス（マイダス）王と言います。
神話に詳しい方ならご存じかもしれませんが、「あまりに金が好き」だったため、「触るものが何でも金に変わる」という特殊能力を神から与えられた王様です。
もちろんその結果、食べ物や娘までも金にしてしまい、後悔して改心したというのがこの神話ですね。

そしてその次は、アポロンをバカにした罪で、耳がロバに。
次から次にハプニングに見舞われる王様です。
ていうか懲りない。なんか僕を見ているようです。

さて、話がものすごくそれたので本題に戻しましょう。
とにかくこの童話でも分かるとおり、人は秘密をついしゃべりたくなってしまうもの。

というのも、秘密を誰かに話すことによって、こんなメリットがあります。

○話すことによって、気持ちを整理できる。
○「秘密を知っているのは自分だけなんだ」という気持ちが分散され、軽くなる。
○秘密を話したときに、「すごい！」と相手に賞賛してほしい。
○相手の反応を見ることで、その秘密にたいして自分もどう対応するべきか考えられる。

などなど。
たとえばロバの耳の話では最初の２つのメリットだけではありますが、それでも「話さない」よりも、ずっと気持ちが楽になるのです。

もちろんバレたときのショックは多いですが、それでも「バレなければいいや」という思考が働くので、ほとんどの場合、秘密は外に漏れることになります。

ですのでたとえばある心理学テクニックの本には、

「誰かに言ってほしければ、『絶対に秘密にしてほしいんだけど』と言って話せ」

という内容が紹介されています。

というわけで、秘密を話してしまうのは人間として当然のこと。
ためこめばためこむほど、いつか爆発してしまいます。

ですので、もしどうしても話したくなったのなら、「絶対に分からない」人に話すこと。
それこそ完全に匿名にして、ネットの友達に伝えてもいいでしょう。
または自分の家族や、遠く離れた同窓生などに教えてもいいでしょう。

これはまさに「穴」。
そうすることで自分の気持ちは確実に楽になります。
とはいえ相手を選ばないと、その穴から音が漏れまくることがあるので注意が必要です。

ちなみにロバの耳は、言ったことがバレた床屋に対して、王様はしばらく考えたあと、「アポロン様は、私のことを殺さずに許してくれたんだ。だから私も、この男を許そう」と言いました。
その結果、耳の呪いも解けてハッピーエンディング、というわけです。

万が一あなたが話したことがバレてしまったときは、この話をして「だから許して」と言ってみましょう。通じるかは半々です。

王様の耳はロバの耳ではなく、「王様の耳はネコ耳」とかなら別の層の支持者を集めそうだなぁ、と考えながら、あなたの幸せを心より願っております。

ゆうきゆう（精神科医・心理学者・作家・Ｍ）

特技は、たて笛のテストを口笛でごまかすこと。趣味はバンジージャンプ。落ちるときの情けない顔は天下一品。夢はワイルドブルーヨコハマの跡地を買い取って、セクシーピンクヨコハマにすること。読者数138000人のメルマガ「セクシー心理学」を運営している。アドレスはこちらhttp://sinri.net/

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